HMBは本当に効果があるのか?

HMBに期待できる効果

まずはHMBを摂取することで期待できる、2つに大別される効果について詳しく解説していきます。

筋肉量の増加を促進

HMBを摂取することで、筋肉量の増加を促進させるという効果があります。これは筋肉の中にあるたんぱく質の分解を抑制するという働きがあるため。効率よく筋肉の回復と増強が行われ、結果として筋肉量がアップするという仕組みです。

1996年、アイオワ州のスティーブン・ニッセン教授の研究チームでは、HMBの効果に関する実験を行いました。それは、筋力トレーニングにおいて、「HMBを摂取しないグループ」「1日に1.5g(1,500mg)摂取するグループ」「1日に3.0g(3,000mg)摂取するグループ」という3つのグループの筋力変動量を検証するというもの。

3週間の実験の結果、HMBの摂取量が多いほど筋力量もアップするということがわかりました。1日3.0g摂取したグループが最も良い数字が出て、摂取しないグループの約2倍も筋肉量がアップするという驚異的な結果が出ています。[注1]

ただし、ただ単にHMBを摂取すれば良いというわけではありません。トレーニングによって起こる筋肉への刺激や、良質なたんぱく質の摂取があわせて必要となります。

筋肉減少の抑制

HMBには、筋肉の分解を抑制するという効果があることもわかっています。

ハードなトレーニングを行った後、体は疲れ切った状態になっています。トレーニングによってたんぱく質が大量に使われ、栄養が足りなくなると、体は筋肉を分解してエネルギー源にするめ、結果的に筋肉量が減ってしまうことになります。

トレーニング後すぐに、プロテインなどでたんぱく質を補給するのはそれを防ぐため。栄養を補給することで、筋肉の分解を防ぐのです。

そこで効果的なのが、HMBだといわれています。HMBはたんぱく質に含まれるロイシンというアミノ酸の代謝物なので、より効率よくたんぱく質を吸収させることができます。

2000年、アイオワ州立大学ではHMB摂取時における筋肉の損傷レベルの実験が行われました。

実験の内容は、20kmの長距離を走る被験者13名を、「HMBを3g(3,000mg)摂取するグループ」「偽薬を3g摂取するグループ」の2つにわけ、筋肉の損傷レベルを比較するというものです。

結果、HMBを摂取した方が、筋肉の損傷レベルが低いということがわかりました。[注2]

HMBの必要摂取量

厚生労働省がHMBの摂取を推奨している

日本では健康食品やサプリメントの適切な利用のために、厚生労働省がさまざまな基準を設け、情報を提供しています。

HMBについては、「日本人の食事摂取基準(2015年度版)」で以下のような見解が述べられています。

「HMB はロイシンの体内における代謝産物であり、筋肉におけるたんぱく質合成を誘導する重要な働きをすると想定されている。」

この報告書では、台湾とアメリカで行われた実験結果とともに、いずれも筋肉減少症(サルコペニア)の改善に効果が期待できる可能性があると書かれています。

HMBの摂取量は、1日3g(3,000mg)が一番効果的

HMBの効果を最大限に引き出すためには、1日に3gの摂取が良いといわれています。1日あたり、1.5gから効果が出ることがわかっていますが、3g摂取するのが最も効果的です。

HMBの効果を確かめるためのある調査では、毎日HMBを1.5g摂取した方のリフティング総重量の増大率が13%だったのに対して、3.0g摂取した方は18.4%と増大率がより高いという結果になりました。

3g(3,000mg)以上の摂取は効果が低減?

HMBの適正量に関して行われた実験があります。

実験では、「HMBを摂取しない」「体重1kgあたり38mgのHMBを毎日摂取」「体重1kgあたり76mgのHMBを毎日摂取」という3つのグループに分け、8週間のトレーニング後、体がどのように変化したかを検証しました。

結果、「体重1kgあたり76mgのHMBを毎日摂取」よりも、「体重1kgあたり38mgのHMBを毎日摂取」したグループの方が、脂肪を除いた体重、つまり筋肉量が増加しているということがわかりました。

これにより、HMBを摂取し過ぎることによって、筋肉を合成する効果が減少してしまうということが明らかになったのです。[注3]

HMBを摂取しながらトレーニングしているにも関わらず、なかなか効果が実感できないという方は、摂取量が多すぎるということも考えられます。

HMBを効果的に摂取する方法

1日あたりの推奨量である3g=3,000mgという基準を満たすためには、どうすれば良いのでしょうか。

HMBはたんぱく質に含まれるロイシンというアミノ酸の代謝物。しかし、体内でHMBがつくられるのは、摂取したロイシンのうちわずか5%です。

1日の推奨量である3gを満たすためには、毎日60gのロイシンを摂取しなければいけないということになります。しかし日常生活で食品から摂取できるHMBの量は、たった1g以下しかありません。

またトレーニングをしている方にとって、たんぱく質を補給するプロテインはもはや定番ともいえますが、必要なHMB量をプロテインで摂るとなると、毎日約20杯もの量を飲み続けなければいけないということになります。

そこで上手に活用したいのが、HMBのサプリメントです。毎日決められた量を摂取することで、効率よくHMBを摂取することができます。

サプリメントを選ぶ際は、1日あたりどれくらいのHMBを摂取できるのか確認するようにしましょう。1日あたりの推奨量である3gに近いものだと望ましいですね。

どんな人に効果が出るのか

HMBは、どんな方にも摂取をおすすめしたい成分です。

まず、初心者の方はHMBの効果が実感しやすいといえるでしょう。筋力トレーニングの未経験者を対象としたある実験では、HMBを摂取してからウエイトトレーニングを行った結果、摂取しなかったグループと比較して筋肉の増量が認められました。 一方アスリートに同じ実験をしたところ、HMB摂取による筋肉の増量の差はほとんどなかったそうです。

また、HMBには筋肉疲労を抑制するという働きがあるため、より激しいトレーニングを行い、筋肉量をアップすることができます。トレーニングがマンネリしてきてしまっているという中級者・上級者の方にも効果が期待できるでしょう。

さらに、高齢者の筋力アップにもおすすめ。ロコモティブシンドローム対策にも、ぜひ取り入れてほしい成分だといえます。

サルコペニアの予防や改善にも

MBは、老化による全身の筋肉量の減少、いわゆるサルコペニアの予防や改善にも有効だということがわかっています。

サルコペニアは、最近話題になっている「ロコモティブシンドローム」の一種。
加齢により筋肉量が減ることで、歩行などの日常生活に支障をきたしてしまう現象です。また生活習慣病などの発症にも大きく関係していると考えられているため、年齢があがるにつれて、筋肉量が減ってしまわないよう対策を行わなければいけません。

HMBには、筋肉の合成を促進し、分解を抑制するという働きがあることがわかっています。厚生労働省の行った試験では、高齢者におけるサルコペニア対策に、HMBが有効であるということがわかり、「日本人の食事摂取基準(2015年度版)策定検討会報告書」でも紹介されています。[注4]

参考文献